「勘違いしてはいけない。あなたには権力はおろか、権限すらない」
世の中には偉くなった気でいる老害と呼ばれる人たちがいる。
もともとパワハラ気質で承認欲求が強い人はどんどんエスカレートしていき、ありもしない権力を振りかざすようになる。
あなたの周りにもいないだろうか。
偉そうにものを言い、高圧的な態度で周りの人を支配しようとする人たちは。反論でもしようものなら顔を真っ赤にして、脅しともとれる言葉で追い詰めてくる。
「自分が絶対的正義で、おまえたちはアホだ」と言わんばかりに。
ありもしない権力に溺れる者は「可哀想」
私はある地区の老人と会った。
老人はその地区の住民から「会長」と呼ばれていた。自治会長は他におり、私はこの老人が何の会長か、さっぱり理解できなかった。
会長と呼ばれている老人は、私たちの間では有名だった。もちろん悪い意味で。
「あそこの地区で仕事をするときは、○○さんには十分注意するように」と。
その老人は人の言葉に一切耳を傾けない。一見、キレイに聴こえる言葉の裏には「強い脅迫」が漂っていた。
「言うことを聞かないと、仕事をとめるよ」
実際に現在でも、2ヶ月以上も仕事をとめられている所もある。
もちろん、その老人にそんな権限はない。だが老人はありもしない権力に溺れていた。
私はその老人が権力に溺れる様を見て、情けなさと同時に可哀想とさえ思えた。その老人はあと何年生きるのだろうか。残り少ない人生をありもしない権力を誇示するためだけに使うなんて滑稽だ。
残りの時間、この老人はなにも成し遂げることはできないだろう。死の間際、この老人にはなにも残らないだろう。
ありもしない権力を作り上げたのは、振り回される人
この老人がいなければ、どんなにスムーズに仕事が回るだろうか。
この老人が、ありもしない権力を振りかざすきっかけはなんだったのか。それは、振り回される人が「ありもしない権力を与えてしまった」からだ。
仕事をスムーズに回すための忖度が、承認欲求の強い人間の心に火をつけてしまった。
どんな所にも「厄介な人間」は存在し、厄介な人間を取り込むために根回しをしたり、話を通したりする。この行為が次第に「私には力がある」と勘違いさせてしまうのだ。
老害を作り出してしまったのは、今、振り回されている周囲の人間だ。
厄介な人間はどこまでいっても厄介である。そもそも、害があるから老害である。そんな老害に忖度をしては本末転倒。
老害に費やす時間や費用は無駄でしかない。それに余計なストレスを溜め込むことになる。
人として生まれたからには
ありもしない権力を振りかざす人も、振り回される人も、余計な労力を使い時間を無駄にしている。
こんな労力は誰のためにもならない。すべての人にとって負担でしかない。なにも楽しくない。
「人として生まれたからには」
なにかを成し遂げたい。なにかを残したい。承認欲求やプライドは人生を楽しく生きるためには邪魔になる。それどころか承認欲求やプライドはマイナス要素でしかない。
「あの人のために、自分にはなにができるのか」
この自分への問いかけが、人生を有意義なものに変えてくれる。自然と徳を積み上げ、人の心に残る存在となる。「自分の欲求を満たすためにあの人はなにをしてくれるのだろうか」では、なにも成し遂げることはできない。
世の老害たちよ。権力に溺れれば必ず沈む。弱ったとき、喜ばれる人間となる。そして、あなたたちの存在は、人の心から抹消される運命にある。
悲しいかな、あなたたち老害は、長く生きてなにを学んできたのだろうか。