「人生の時間割」残りの時間を有意義に過ごすために「自身の価値観を知る」

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幾分早く見送った友は、どこでなにをしているのだろう。もう少し、もう少し猶予があればどんな景色を見ていたのだろう。

神が永遠を授けたかのように、わたしたちは砂時計を永遠と錯覚する。

人生を各項目に振り分けたとき、明確な時間割が出来上がります。そして、自由に過ごせる放課後の時間も見えてきます。

しかし、放課後の時間を割り出すとき、寿命という不確定な要素を頼らなくてはいけません。

日本人男性の平均寿命は「81.4歳」、女性の平均寿命は「87.5歳」です。(2019年厚生労働省資料より)

あくまで平均です。平均寿命まで生きられる確率は約60%という統計結果があります。逆に言えば、10人に4人は平均寿命まで生きられないのです。また、平均寿命より長く生きても「生かされている」場合もあります。

しかも、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)となると、平均寿命から9歳~12歳を引かなくてはなりません。

健康寿命は男性で「72.7歳」、女性で「75.4歳」です。

あと何回、元気で親や子、そして友人たちと言葉を交わすことができるのでしょうか。あと何回、好きな旅行に行けるのでしょうか。あと何回、好きなお酒を飲みに行けるのでしょうか。あと何回、笑うことができるのでしょうか。

目次

放課後の残り時間は意外と少ない

ここで言う放課後の残り時間とは、単純に平均寿命や健康寿命から現在の年齢を引いた時間ではなく、引いた時間からさらに睡眠や仕事、食事やトイレなどの生活時間を引いた時間で、自由に自分の好きな活動に費やせる時間のことを指します。

40歳男性を例に見てみましょう。

ここでは、健康寿命から放課後の自由に使える時間を考えていきます。

日本人男性の健康寿命「72.7歳」から現在の年齢40歳を引きます。

残りの人生:32.7年

人生の時間割①「睡眠の時間」

日本人の平均睡眠時間は「6.5時間」です。これに、睡眠の準備時間などを加えて「7.0時間」と仮定します。

人間は毎日寝ますので32.7年で算出すると、睡眠時間は「9.5年」となります。

放課後の残り時間:23.2年

人生の時間割②「仕事の時間」

「日本人は働きすぎ」と言われますが、実際にはどうでしょう。

日本人男性の通勤時間、待機時間などを含めた年間(休日含む)の日平均勤務時間は「6.3時間」で、世界平均「4.3時間」よりも2時間も多いことが分かりました。(2021年働き方改革ラボより)

これは、世界でダントツの1位という結果です。

65歳を退職年齢だと仮定すると、25年×365日×6.3時間で57,487.5時間となり、年に換算すると仕事時間は「6.6年」となります。

放課後の残り時間:16.6年

人生の時間割③「生活の時間」

生活にかかる時間は、食事、入浴、トイレ、歯磨き、着替え、家事など、生活には欠かせない時間です。

細かな時間は省略しますが、これらにかかる時間は1日平均「4.8時間」です。

生活にかかる時間を32.7年で算出すると、生活時間は「6.5年」となります。

放課後の残り時間:10.1年

放課後の残り時間「40歳で10.1年」

この計算方法で現在20歳の男性と60歳の男性の残り時間を算出すると以下の結果になります。

  • 20歳男性:15.0年
  • 60歳男性:5.2年

40歳での残り時間が10.1年と聞くと、長いと感じる方もおられると思います。

しかし実際にはこの10.1年から、子どものお世話や親の介護、地域や学校などの会合など、人によって条件が違う時間を引いていけば、半分以下になってしまうかもしれません。

しかも、あくまで健康寿命の年齢まで健康だった場合の話です。

それに忘れてはいけないのが、スマホやテレビの時間です。

日本人がスマホに費やす時間は1日平均「3.8時間」です。

これを32.7年で算出すると、スマホ時間は「5.1年」にもなります。

どうですか。スマホ時間を考慮すると、放課後の残り時間は一気に半分です。先ほどの人によって条件が異なる時間を差っ引いたら、放課後の残り時間は消滅してしまう可能性もあるのです。

人間だけが持つ「死への恐怖」の矛盾

人間以外の生物たちは本能で命の危険を感じます。ですが、死を認識している訳ではありません。

死を認識できる生物は人間だけです。そして、自ら選ぶことのできる生物も人間だけです。

私も含めて大勢の人たちは「死への恐怖」はあると思います。

あなたが「死にたくない」理由はなんでしょう。少し考えてください。

明確な答えを出せた方は少ないと思います。なぜなら、あなたは生きていて、死を認識していないからです。

ほんの少し前に、「死を認識できるのは人間だけ」と言いました。

しかし、「認識できる」と「認識している」は違います。ほとんどの方は「死」という言葉は知っているけど、自分にはまだ関係ないと思っているからです。

人は自分の死期を知ったとき、「やりたい事をやっておけばよかった」「もっと家族を大切にしておけばよかった」と未練と後悔を口にするそうです。

ここで矛盾が生まれます。

  • 「まだやりたいことが沢山ある」
  • 「家族や友人ともっと一緒に過ごしたい」

なぜ、生きている間にしてこなかったのですか。死が来ることを知っていたのに、なぜ、認識しなかったのですか。

いま少し立ち止まって、人生の時間割に目を向けてみませんか。

残り時間を有意義に過ごすために「価値観を知る」

死期を目の当たりにして未練や後悔が生まれるのは、自身の価値観と時間の使い方が合致していないからです。

「まだやりたいことが沢山ある」と言いながら、時間を気にせずスマホをいじってみたり、「家族や友人ともっと一緒に過ごしたい」と思っていながら、パチンコに興じてみたり。

自分が何に価値を置いているかを知ることができれば、お金や労力、時間をムダにすることなく、自分の価値観に投資することが当たり前にできるようになります。

また、多くの方は、周りの人たちの期待を価値観と捉えています。

例えば親が子に、「たくさん勉強して良い大学に入って、大手企業に勤めることが立派な大人」と言います。子どもは親の期待に沿うように親の価値観で生きるようになります。

親は満足かもしれません。ですが、子どもは幸せでしょうか。親が亡くなったとき、子どもの価値観はどうなるのでしょうか。

正解のない問題に「自分の意見を持つ」

自分の意見は価値観を知る上でもっとも重要な手がかりとなります。

日常のちょっとしたこと、例えば、500円のTシャツを買うか、5,000円のTシャツを買うかでも人によって様々な意見があります。あなたが何気なく買った500円のTシャツでも、「なぜ500円のTシャツを選んだか」にはあなたなりの意見があるはずです。

逆に5,000円のTシャツを買う人もいるでしょう。

「500円のTシャツでも着れたらいい」「5,000円のTシャツを大切に着たい」

どちらが正解ということはありません。ですが、人それぞれの価値観は見えてきます。

自分の意見を持つことは、自分の価値観を認知することなんです。

プロセス、ストーリーへの共鳴「読書」

読書をすることで知的探究心が刺激されます。

本には著者の考え方や意見、すなわち著者が導き出した答え、それに至ったプロセスが書かれています。

本を読んでいると胸にグッと刺さる言葉だったり、妙に腑に落ちる(落ない)言葉だったり、マンガだと共感できるキャラクターがいたりと心が動く瞬間があると思います。

心が動く瞬間は、私たちの中の見えない価値観が共鳴していると言えます。

読書は自分が持つ価値観を知るためのセンサーになるのです。そして、センサーによって浮き出したフワッとした価値観を、知的探究心によってさらに深く、さらに濃くしていけるのです。

読書で大切なのは著者の導き出した答えではなく、それに至ったプロセスやストーリーです。マンガも答えだけだと成立しません。

海賊王になりたい少年が海に出ました。そして海賊王になりました。では面白くありませんよね。大切なのはプロセスやストーリーなのです。

なぜ、この言葉に共鳴したのか。なぜ、このキャラクターに共感したのか。価値観はプロセスやストーリーに隠されているのです。

この「なぜ?」と「共鳴・共感」が先ほどの「正解のない問題に自分の意見を持つ」ことに繋がっていきます。

自分の壺「価値観の優先順位」

「昨日一日は充実していましたか?」

ここで2ちゃんねるで有名な、ひろゆきさんがよくする話を一つ。

<この壺は満杯か?>

とある大学の教授が、学生たちの前におおきな壺を置いた。教授はその壺にが一杯になるまで岩を詰めた。

そして学生たちに聞いた。

「この壺は満杯か?」

学生たちは「満杯です」と答えた。すると教授は砂利を持ってきて壺の中に入れた。壺を振りながら石と石の間に砂利を詰めた。また学生に聞いた。

「この壺は満杯か?」

ある学生は「たぶん違う」と答えた。教授は笑いながら砂を入れた。そしてまた学生に聞いた。

「この壺は満杯か?」

さすがにもう満杯だろうと学生は答えた。教授は水差しを取り出し、壺の縁までなみなみと水を注いだ。

教授は学生に質問した。「私がなにを言いたいかわかるだろうか」

ある学生が答えた。「限界だと思っていても、最大限の努力をすればもっと詰め込むことは可能だということです」

「違う」と教授は静かに答えた。

「見るべきはそこじゃないんだ。この壺が教えてくれたのは、おおきな岩は後からでは二度と入らないということだ」

「おおきな岩は君たちにとって一番大切なもの。それを先に入れなさい。さもないと、永遠に失うことになる」

「もし、小さな砂利や砂、水など、君にとって重要でないものから入れていけば、君の人生は重要ではないもので満たされてしまうだろう」

「そして、一番大切なものに割く時間を失い、その結果、大切なものを失うだろう」

さて、あなたの一番大切なものはなんでしょうか。

志であったり、家族であったり、夢であったり。この一番大切なものの根っこにあるのが価値観なんです。

だから価値観を知ることが重要であり、一番大切なおおきな岩を最初に入れるきっかけになるのです。

「昨日一日は充実していましたか?」

ほとんどの方は忙しくしていても、充実していないと感じるでしょう。それは、砂利や砂、水などの重要ではない「何か」を優先しているからなのです。

自分の価値観を知ることができれば、おのずと一番大切なものが見えてきます。そして、人生の時間割を見直すことができるようになるでしょう。

最期の景色は闇に広がる

あなたの砂時計は無限に落ちる。

だが、ぼくの砂時計はいつ終わりを迎えるかわからない。

神はあなたに永遠を授けたようだ。だが、ぼくには与えられなかった。

幾分早く見送った友は、どこでなにをしているのだろう。もう少し猶予があれば、どんな景色を見ていたのだろう。

砂時計の最後の一粒が落ちる時、景色を照らしていたランタンも消える。

最期に見る景色は闇に広がる。

明日のない今日は、神から授けられた恩恵。

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