「朝に言ってたことが夕方にはコロッと変わっている」
「夕方に言ってたことが朝にはコロッと変わっている」
このような上司は「一歩進んで二歩下がる」言動を平気でくり返す。
私たち部下はもううんざり。
ようやく進みかけた仕事がまた振り出しに戻る。ほんとうは余裕をもって進められる仕事なのに、期限が迫る中でイライラしながら同じ仕事をやりなおす。
スムーズにことが運べばやる気も出て成果も上がるはずなのに、いつもこの上司がいるおかげで遠回りをさせられる。1時間の道のりが2時間も3時間もかかってしまうのである。
要は、ブレる上司は部下のやる気を削ぎ、生産性を下げているのだ。
そこで今回この記事では、こんな平気でブレまくる上司の心理と、どうすればこの上司を突破してスムーズに仕事を進められるかをお話する。
ブレる上司は「保身」と「欲」のかたまり
まずはブレる上司がなにを考えているのか見ていこう。
「部下の責任はとりたくない」 保身がゆえに気が小さい
部下の責任は上司の責任である。これが上司が高い給料をもらう理由である。
スムーズに仕事が運ぶ部署の上司は甘いわけではない。要点はハッキリと指示し、部下を信頼して全面的に仕事を任せ、自分はバックアップに徹している。
その一方、ブレる上司は自分に責任が及ばないように、部下のやる事なす事に重箱の隅を一生懸命つつきながら口をはさんでくる。
気が小さくてドンッと構えることができない。
「こんなやり方でいいの?」「これで失敗したらどうするの?」「これじゃダメじゃないの?」
とにかくあいまいな表現が多いのが特徴で、自分からハッキリ指示することはない。
ハッキリと指示してしまえば自分の責任になる。
そう、ブレる上司の言動は責任逃れであるために、ありとあらゆる不安、心配事を妄想して対処法を部下に考えさせ、自分は部下がもってくる提案の揚げ足を取ることに専念しているのだ。
これは部下に失敗させないためと言うより、自分に責任が及ばようにするためであったり、自分の評価を上げるためである。
ブレる原因は本質を見失っているから
「どうすれば自分に責任がこないか」「どうすれば自分の評価が上がるのか」
私たちの上司の評価は、大企業だとさらに上の上司、中小企業だと社長を始めとする経営陣や役員がする。
しかも評価をする人間が1人だとは限らない。
例えばブレる上司の評価をする人間が2人いるとしよう。
- 1人目は正確性を重視する
- 2人目はスピード感を重視する
ブレる上司の評価者がこのようにタイプの異なる人間である場合も多い。
だから私たち部下は2つの軸から見た「早く・正確に」を求められるようになるのである。
ブレる上司はとにかく評価者に忖度をする。評価者が求めていないことまでも部下に求めるようになる。
「社長はどこを見て評価するのだろう」「専務はなにを判断材料にしているのだろう」
仕事の本質ではなく評価者の視点、すなわち他人の軸から仕事を見ているから一貫性がなくブレるのだ。
バランスをなくした視野の狭い完璧主義者
品質・工程・安全・利益など、それぞれ100点満点を実現することは不可能である。
品質を重視すれば工程や利益率は落ちる。工程を重視すれば品質や安全性は落ちる。
要は会社の方針に合わせてバランスをとることが大切なのだが、ブレる上司は視野が狭く一つずつにしか焦点を合わせられない。
朝は品質に焦点を合わせて「品質が大切だ」と言い、夕方になると「この品質でどうやって利益を確保するんだ」と言い、翌朝になると「納期が遅くなるぞ」と言い、また夕方になると「このリスクはどうやって回避するんだ」と言い出す。
そしていつまでたっても堂々巡りをくり返すのだ。
最初にも話したが、すべてにおいて100点を取れることなどない。バランスが重要だ。
ブレる上司はすべての基準を足して100点になればいいと言う柔軟な発想ができない。
すべてが100点でないと気がすまない完璧主義者なのだ。
ブレる上司のもとで仕事をすると私たちが損をする
ブレる上司がいると部署全体の生産性が下がることは言うまでもない。
しかし生産性が下がるだけなら「私たちには関係のないこと」「ブレる上司が悪い」と思うだろうが、実は私たち部下は目に見えないところで大損しているのである。
ブレる上司は私たちの時間を盗んでいる
時間は目に見えないし限られている。
こんな大切な時間を平気で奪ってくるのがブレる上司である。
さっさとハンコさえ押せばすむことを「もうちょっと考えてみて」なんて言うものだから先に進めない。
1日で終わる仕事が次の日に持ち越されたり、最悪の場合には残業や休日出勤をするはめになることも。
私たちの時間はブレる上司のためにあるわけではない。
もはや時間を盗む「時間泥棒」と言っても過言ではないだろう。
結局、責任は私たちが取らされる
やっとブレる上司の難関をくぐり抜けても失敗やトラブルはゼロにはならない。
「ほら、あのとき言っただろ」「どうするのこれ?」と上司として責任を取る覚悟なんて毛頭ない。
だから失敗やトラブルがあっても、その上司がいようといまいと結局は部下である私たちが取らされるのである。
私たち部下の評価は想像以上に低い
ブレる上司の言うことを聞いて、必要以上に時間をかけ、責任も自分たちで取る。
しかしその上司からくだされる評価は想像以上に低い。
なぜならブレる上司は完璧主義であり、すべて自分の思い通りに動いてくれる部下じゃないと評価しないからである。
いくら努力をして成果を上げても、おまえたちは「まだまだだな」となる。
だからブレる上司のもとに着くと、昇進や昇給などが他部署より遅れるはめになるのだ。
迅速な先回りでブレる上司を突破する
ここからはブレる上司をいかにうまく突破し、スムーズに仕事を進めていく方法をお話する。
ことあるごとに相談を持ちかける
ブレる上司は基本めんどくさがり屋が多い。
しかしこんな上司に限って「報連相(報告・連絡・相談)」を重んじる。
あらかじめ報連相をしておかないと「おれは聞いてない!」と怒りだすこともある。
一度へそを曲げるとなかなか元にはもどらないし、後々の仕事にも影響がでる。
ことあるごとに「報連相」をしておけば、ブレる上司も安心するしめんどくさがりな性格も相まって細かいことは言わなくなることが多いのだ。
私たちとしてもめんどくさいが、仕事が進まなくてイライラするよりかは幾分マシであろう。
「具体的にどうすればいいですか?」で指示を引き出す
そもそもブレる上司は具体的な指示をしない傾向にある。
具体的な指示をしないから何度でも部下の提案をくつがえすのである。
それならブレる上司から具体的な指示を引き出せばいいだけのことである。
さすがの上司も自分で指示したことは簡単にはくつがえせない。
そこでこの「具体的にどうすればいいですか?」の質問が有効になる。
時間を無駄にはしたくないのでこの質問は早い段階でしたほうがいいだろう。
「具体的にどうすればいいですか?」の質問をするときだけはバカになり、「分からないので教えてください」というスタンスでむかえば指示をせざるを負えなくなる。
しかしよほど指示を出したくないのか「そんなこと自分で考えろ」と言う場合は次の手だ。
さらに上の上司に相談する
ブレる上司は自分を飛び越えて上の上司に相談されることを嫌う。
なぜなら自分の評価が下がることを恐れているから。
だから指示をくれない、具体的な方法を教えてくれない場合は「じゃあ上の人に相談します」と言えば態度がコロッと変わる。
実は部下に何かを言われてもブレるのである。
しかも今は「パワハラ」や「モラハラ」が大きく取り上げらる時代であり、会社としてもこの問題に対して敏感だ。
ブレる上司はパワハラやモラハラの自覚はない。
だがやっていることはハラスメントそのものだ。自覚がなくても上の上司に相談されれば立場が悪くなる。
会社としてもブレる上司がいることで仕事が滞ることは避けたいところだ。
上の上司や会社に相談することは有効な手段である。
しかし多用はできない。
多用しすぎると上の上司も会社も「またか・・・」となり、私たちの話を真剣に聞いてくれなくなるからだ。
この手段はほんとうに困ったとき同僚や他の上司と相談して、奥の手として使うことをおすすめする。
まとめ
ブレる上司への攻略法は「先手必勝」である。
こんな上司に気を使うのもバカバカしいが、こんな上司のために自分の時間を削られたり、生産性を下げるのもほんとバカバカしい。
しかしそう簡単には上司は交換できないし、性格を変えることはできない。
だから少し手間ではあるが、私たち部下が一歩先回りをしブレる上司をコントロールして、スムーズに仕事が進められるようにしていこう。
私たち部下はブレる上司よりも賢い。だからバカの振りをしてブレる上司を手のひらの上でコロコロと転がすのである。